土地が哭いている――農地改革と農地法八十条
本書は、農地改革における不動産登記、土地台帳登録はどのように行われたか、その際どのような問題が発生したか、そして農地改革後、未解決の問題はどのように処理されたかについて、青森県下北郡田名部町(現、むつ市)における大湊興業株式会社の所有地を事例に検討したものである。
農地改革における買収・売渡処分は登記・登録によって完結する。それが正確に履行されないと、最終的な仕上げとはならないので農地改革は画竜点睛を欠くことになる。
このように農地改革の登記・登録は極めて重要であるにもかかわらず、これまでの農地改革研究においてほとんど検討されてこなかった。
本書は、この登記・登録の実態を実証的に解明することを課題とする。(以上、第一章「本書の課題」より)
農地改革は、GHQ・農林省の至上命令を受けて、市町村農地委員会により迅速・徹底的に行われた一方、膨大な量の登記・登録の混乱を発生させた。それらは21世紀の今もなお未解決の問題を残している。
本書は、農地法80条を根拠に大湊興業株式会社と国で行われた裁判を取り上げ、実際の裁判資料も交えながら、農地改革の問題点を明らかにしていく。
著=戸塚喜久
発行=公益財団法人 地域開発研究所
A5判・並製・318頁
定価4,950円(本体4,500円+税10%)
ISBN978-4-8350-8539-5
2022年1月刊【取扱図書】