不二出版

書籍紹介

新版 加藤時次郎

初期社会主義の〈鉱脈〉・加藤時次郎の軌跡を辿った、成田龍一初の著書『加藤時次郎』(1983年小社刊)に、新稿「四〇年目の『加藤時次郎』」を付して新版刊行!

堺利彦・幸徳秋水・片山潜ら初期社会主義の影響のもとに、民衆や困窮する都市生活者に根ざした多様な社会事業を実践した加藤は、大逆事件後には売文社の顧問を務め、大正期労働問題や普選運動にも積極的に関わるなど思想と運動の両輪をつなぐ広範な実践を展開。

新稿「四〇年目の『加藤時次郎』」は、現在改めて注目を浴びるアナーキズムやマルクス主義の文脈に本書を差し戻し、再度加藤及び初期社会主義思想のアクチュアルな可能性を論じる。現代におけるアナーキズムの多様な可能性をも鮮やかに照らし出す一書。初期社会主義研究・アナーキズム研究・社会史研究・社会運動史研究に必携。

著=成田龍一
体裁=四六版/並製/384頁
定価=3,190円(本体価格2,900円+税10%)
ISBN978-4-8350-8754-2 C0021

★推薦 藤原辰史(京都大学人文科学研究所准教授/歴史学)

「平民食堂、平民病院、平民薬局、平民法律所――多方面の社会変革を一挙に目指したこの破天荒な医師の、飽くなき挑戦とその挫折の中に、現代世界にもっとも欠けている力を私は見る。諸問題を関連づけ統合し解決を目指す理念の力だ。その理念は、革命精神の冬の時代にあって、最先端の医学を学び、性欲の解放と統御の問題に正面からぶつかり、中産階級の疎外、ロシア革命、労働組合、そして宗教まで論じた彼の豪胆な知性に深く根づいている。「日本のロバート・オーウェン」と呼んでなんら誇張のない加藤時次郎と、本書を通じて対話をすれば、きっと読者の理念も鍛えられるにちがいない。」

〈目次〉
医師としての出発
初期社会主義の一員として
実費診療所
社会政策実行団
『第二維新』と『性慾と道徳』
持続する志
おわりに
あとがき(旧版)
四〇年目の『加藤時次郎』
加藤時次郎年譜


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