愛知大学版東亜同文書院大学編纂『華語萃編』初集――影印・翻刻と総訳――
20世紀初頭に日中の交流促進を期して上海に設立された東亜同文書院。そこで作成された初学者用の中国語教科書『華語萃編』初集の愛知大学改訂版を翻刻し、中国語の発音表記と日本語訳、注釈を附して新たに刊行する。戦前期の中国語教育と当時の生活文化を伝える貴重な資料である。
1901年から1945年まで上海にあった「東亜同文書院」は中国を専門とする経済人の養成を目指した日本の教育機関だった。『華語萃編』は東亜同文書院の中国語教科書であり、日本人が中国で長く暮らしていくことを想定して、生活場面における実践的な会話文が多く収録されている(第四十三课「托租住宅〔貸家を探してもらう〕」、第四十六课「害浣害否〔洗濯物を出す〕」など)。
本書は1950年代に愛知大学で簡体字・拼音を取り入れて改訂された『華語萃編』初集の本文を翻刻し、これに中国語の発音表記と日本語訳を付したものである。現代的でない声調や語句については注釈を付しているため、中国語教科書としても機能すると同時に、戦前期の中国の暮らしを知る歴史歴資料としての価値も高い。
◆2023年3月刊行
今泉潤太郎 監修
石田卓生 編訳
推薦=藤田佳久(愛知大学名誉教授)
B5判・上製・総400頁
ISBN 978-4-8350-8750-4 C3021
定価 6,600円(本体価格6,000円+税10%)
関連図書 東亜同文書院の教育に関する多面的研究